浅野にいお、の、漫画。
二巻で終わる。地方の港町に住む小梅という中学生は、同級生の磯辺という少年と性的な関係を持ってしまう。二人は互いに相手や好きとは言いがたい、が、ただ惰性のように何かを補い合うかのように性的な関係が続き、やがて事件が起こる。
幾度も描かれる精密な景色はひどく退屈で刺激の少ない地方の町。そして兄を失った磯辺少年、生きている実感の希薄な小梅と、行き場のない心と体のはけ口を探して、自殺を考えたりしながら、彷徨う。
そして最後の方になって彼らは互いにふとしたことで出口を見つける。それまでの日々が息苦しく描かれている。思春期の行き場のない息が苦しくなるような切ない足掻きを、丹念な絵で浮かび上がらせている。