風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

おやすみプンプン 2

13巻まであった、おやすみプンプン、をようやく読み終えた。

高校生を卒業して大学生くらいの年齢になって、そうしてプンプンを取り巻く人たちに起こるさまざまな出来事。それらの大概は破滅的だったり、凄惨だったりする。

ここからネタバレあります。

 

ヒロインの田中愛子ちゃんは、大人になってそうして、もしも頭からつま先まで誰かと1つになれたなら、そのあとに死んでしまってもかまわないと語っていた。そうして彼女は最終巻で自殺を選ぶ。誰かと1つになれたことの満足の果てなのか、それとも絶望の末なのか、それについてはわからない。

文学というのは、登場人物たちが「こうとしか生きようのない」選択の果てに、受けることになった結果や展開を味わいながら、人生について考えさせる教材を提供するものだと思うのだが、前回も書いたように、おやすみプンプン以外に、この領域にまで到達した漫画を自分は知らない。人生のどうにもならなさ、だがそれでもそれを受け入れて生きていく人間のたくましさ、健気さ、それを容赦のないタッチで描いてしまった作品だ。その描き方の切り口の残酷さこそが、むしろ、どうして自分の人生はこうなんだろうか、と悩み苦しむ人に対する小さな痛み止めになるのではないかと思う。

浅野にいお、恐るべし。