風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

砂の器

映画を見た。主役が丹波哲郎の昭和の名作だ。松本清張の原作。アマゾン動画で評判が良かったので。音楽と少年と父親の旅の情景が何しろ美しい。とにかくそれに尽きる。

話の展開も、あちらに行ったりこちらに行ったりと、秋田、島根、大阪、石川、と、丹波哲郎があちこちで捜査をしているのも、少し観光気分を味わえて面白い。

が、犯人の情婦は、どうしてわざわざ証拠をばら撒いたのか、焼いて捨てていたなら足がつくこともなかった。犯人はどうして子供を持つことにそんなに抵抗したのか。そうして殺人の動機になった、犯人がどうして自分の父親に会いたがらなかったのか、については全く踏み込んでいない。なので、なんでこうなったのだろうか、という疑問は置いてきぼり。

昭和の大らかさなるが故か? 見ていて、なんでなんだろう、が、止まらなかった。

が、その代償に得られたものは大きい。圧倒的な美しさ。音楽と親子の二人旅の様子は、深く心に刻まれる。この美しい絆には、何の説明も要らない。見て良かった、見て得した、と思える美しさなのだ。この余韻のために細かい説明付けは捨てたのかもしれない。