風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

アルファケンタウリ

太陽に最も近い恒星だ。地球から見て最もよく光って見える星。

自分はこの修行プロジェクトにあと半年いないとならない。いや、もっと早くクビになる可能性が出てきているのだが、何しろそれくらいは覚悟しておく方が楽なのだ。半年。

ところでこの星までの距離は4.2光年だ。今光った光が地球に届くのは4年後なのだ。今見ている星の光は4年前のものだということだ。

自分がプロジェクトを終えてもなお、まだ光は地球にたどり着かないのだ。今この時に放たれた輝きは、自分がプロジェクトから去っても、それでもなおまだ宇宙の虚空を地球に向けて走りつづけている。

半年はとても長く感じる。つらいから。しかし、宇宙規模で考えるとまるで瞬いた間の出来事のようだ。だからつらさが消えるわけでもないし、薄まることもないのだけれど。

宇宙ってやはり大きいんだな、と、途轍もなく大きなものについて考えると、抱えている苦しみがなんだか違う世界のことのように錯覚される。それに少しもたれても良いのではないか。