旅モード

雪の降りそうな湿った冷たい空気の中、夜の街を息子を塾に送って背中を丸めて歩くと、まるで知らない街を一人で旅をしていた時の感覚が蘇ってきて、意識が覚醒していくような、力強い気持ちになってくる。どうせ無頼なのだ。だからこそ自由なんだ。という、20代の頃の寄る辺ない、旅先の孤独な感じがやってくる。そしてそれが俺を冷たくて冴え冴えした、頼もしい気持ちになぜかさせてくれる。

旅に出ているんだ。もう誰も頼れない、そして誰のためでもない、そんな大海原のような自由な時間の中に浸っているような、錯覚が恍惚とさせるほどの心地よさなのだ。

天候によって人の気分が変わるのはよくあることだが、俺にとって最も励ましになるのは、こういう冷たい冬の夜の雨だったのか、と。暖かな陽光も励ましてくれているようでありがたいが。

こういうことに敏感になっているのも、やはり適応障害の余波なんだろう。心が森羅万象に対して鋭くなっているんだ。

 

心の病に関する幾冊の本も励みになったが、自然の力は、月並みな言い方だけど、やはり圧倒的だ。戦うさ、戦えるさ、しばしながらそんな心地になった。久しぶりのことだった。