なんでAmazonは注文してからこんなに早く届けてくれるのだろう、と、利用者の中で思ったことがない人はおるまい。そしてこの本が目に止まったので、Kindle本として注文。到着を待たずに読めるのが便利この上ない。Kindle本のセールス期間とやらで、800円くらいAmazonのポイントが貯まる。
Amazonの仕事の潜入ルポを、Amazonで買えるという、何だか不思議な事態に面白さを感じながら読み始める。
こうしたルポで大切なのは客観性で、Amazonを敵視していても、やけに擁護していても、読んでいて気持ち悪い。そういう意味でこの人の本は文も整っているし、淡々と感情的になることなく、見たこと、あったことを綴っているので好感が持てる。
思った通り、いや、それ以上、というのが、読んでいて感じたことだ。
これだけの厳しい管理と、締め付け、監視、仕組み、それらを噛み合わせてみせたAmazonは、小売りの1つの完成形だ。
小売りを極めていくと無人化に向かうと思う。自動で仕入れて自動で客に開示、自動で決済できれば、小売りは何を幾つどこに幾らで仕入れるか、にだけ専念、あとは値決めをして置いておくだけだ。コンピュータの得意な分野だ。
そこに人を相手に買い物するときの味わいはない。が、それで商売はよく回るはず。
自動販売機というのは、そういう意味で小売りの1つの完成形だ。
Amazonは、人間を機械のように使うことが、人間を使いながらも「無人化」させることに成功して、そしてここまで大きくなり、そして大きくなり続けているのだと思う。人間の個性など無視して管理していくことの効率のよさ。
これからの小売りは、これと対極の、この人から買いたい、という店を作って住み分けていくところに活路があるのではなかろうか。