風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

事情を知らない転校生がグイグイくる

転校してきた天真爛漫な小学生の太陽くんは、死神というあだ名をつけられた一見不気味な女子の、そのあだ名に格好良さを感じて、そうしてグイグイと近づいていく。死神というのは、いじめでつけられていたのだが、太陽くんはそれをクールと感じて、そしてその呪いを自分を付けられたい、と、願いつつ二人の時間を作っていく。

そしてやがて西村さんも少しずつ変わっていく。自分に自信がつき周りを見る目が変わっていく。

 

 

この漫画は二つのことを俺に教えてくれる。

一つは、解釈の多様性は好ましいということ。死神、というあだ名や、ギョロっとした目つきを、気味悪く思うのではなくてカッコいいと感じる、そういう人がいたということが、西村さんを大きく変えていったのだ。

西村さんの内面はとてもかわいらしい。太陽くんはそれに気づいていき、そうして、西村さんのあだ名が死神でなくなっても、彼女ことを大好きだと、西村さんに告げる。

他の人がどう感じようと自分はこう思う、というのを自然に体現している太陽くんは、見ていて羨ましいくらいだ。

二つめは、人は変われるのだということ。

自分を大事にしてくれる人がいれば、やがて自己肯定感の芽が出てくるものなのだ。そしてそれがやがて大きな花を咲かせることもある。

子供に対して何より必要なのは、君は素敵だよ、という勇気づけだと思う。子供はみんな自分の自信の根拠なんてないのだから。そんなに長く生きてないし、できることも多くはないのだから。

相手を大切だと思う気持ちが、太陽のように子供の心の自立を育てていくのだと思う。

 

漫画の後半で書かれるタイトル、事情を知らない転校生がグイグイくる。は、その物語の様子を語りつつ、かつ、西村さんの心情でもありつつ、漫画のタイトルでもある、という、すごくいい味を出している。漫画の冒頭にタイトルを置くのが普通なのだが、この漫画は途中にタイトルを置くことで、味わい深い効果を出している。

 

小学校の教室において欲しい漫画だ。