風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

貧乏入門

 

貧乏入門

貧乏入門

  • 作者:小池 龍之介
  • 発売日: 2009/12/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

何かを持つことで、それに対する意識が生まれる。持つ、ということそのものは、わかりやすいかたちの執着だ。自分らしさ、というか、自分そのものを、持っているものによって確かめようとする心の現れでもある。物欲、とは、そういうものかも知れない。コレクション、なんて、その最たるものかも知れない。持っていることの中に、それを集めるに至った思い出も詰まっていて、物そのものよりもそれを持つに至ったストーリーに意味があるわけなので。

これを読んでから、そうだ要らないCDや本をBOOKOFFに買い取ってもらおうという気持ちが一気に増した。そうして部屋を少し軽くしたら、驚いたことに、経験したことのない心地よさがあった。隙間のできた本棚、目減りしたCD置き場。

断捨離や、ミニマリスト、などの、捨てることをやたらと勧める思想があるけれど、確かにこの快感は中毒性があると思えた。失くしていく、って、快感だったのだ。別に捨てた人が立派だったのではなくて、捨てはじめると快感が背中を押しはじめるのだ。

あれも捨てれたのだから、これも捨てれる、という、これまでなかったエンジンがにわかに活発に動き出す。なるほどねー、と、思いつつ、いったん、BOOKOFFに出そうとしていた段ボールの蓋を閉じた。