肌寒くなってきた朝に風呂に入る。
火照った身体を布団に横たえて、静かに目を閉じて、自分の子供の頃のことや、自分が死んでしまう時のことなどを、ゆっくりと呼吸しながら、まるできれいな水面に体を沈めていくように思い流していく。軽くて乾いた羽毛布団をかぶって、朝の静けさを思うがままに味わう、このひと時は極上の時間だ。
身体が幸せ過ぎて、心がひとりでに満たされていく。
きっと、これだから10月と11月がおれは好きなのだ。ある薬品会社にて働いて適応障害になったのは2年前のこの頃。なので、この季節にいいことばかりがあるわけではないのだけれど。