小学5年の夏の思い出

釣りが趣味の父親に連れられてハゼ釣りに行った事がある。行徳というところから船に乗っていくのだ。二人乗りのボートに乗って川に出ていく。

ハゼの仕掛けは簡単で、竿に糸とおもりと針をつけるだけだ。

ハゼの餌はゴカイという虫で、みみずに足が生えて口に牙がついていて、あんまり気持ちいいものではない。が、それを無理やり針に引っ掛けて水に沈める。ハゼは餌に食いつくと尻尾をブルブルッと振るクセがある。そのブルブルを棹で感じたら、すかさず竿をたてて針をハゼに引っかける。

そして船の上にあげたら、ハゼからなんとかして針を抜きとる。ハゼはぬるぬるしていて、掴みながら針を取るのは一苦労だ。

父親と二人で80匹くらい釣ったところで、ちょっと海に行ってみようか、と、父親はグイグイとボートを漕いで海に近づいた。風が気持ちよかった。橋の下を通ると橋げたにみっしりとフジツボがくっついていた。海に近づくと水が青くて、世界はどこまで広がっているかのようだった。

あの日のことはずっと忘れないだろう。

 

俺は息子にそういう、忘れられない日というのを、ちゃんと与えてやれているのだろうか。だといいのだが、と、思う。