36.8度の彼方

朝、ツマが俺の寝室に来て、体調はどうですか、というので普通ですと言った。息子はしかしその時38.6度の熱をだしていた。トイレに入って息子の様子をみると、今年の春には学ランを着て学校に行くはずの身長165cmある息子が大声で布団で泣いている。そんなに痛いのか、そんなにつらいのか、と、慌てた。が、そうではなかった。

今週末に行くはずだった旅行に行けないのが悲しいという、楽しみにしていたのに、と泣いている。別にまだ何も決まったわけでもないのにだ。

ツマが、インフルエンザだったなら旅行に行けないよ、と、息子に告げたらしい。そんなことを今ここでいう必要はないのにと驚いた。病気の人の希望を奪うような事を言ったら治るものも治らなくなるのではないか。

 

彼女の中では、いろんなことがそんな風に映っているようだ。俺が彼女と連絡が取れないと、俺はすぐに死んだことにされてしまう。それで何回彼女に殺されたかわからない。

ツマは物欲とかはあまりないが、平穏でいたいという気持ちが猛烈に強いようす。平穏でなくなり、何かとんでもないことが起きたらどうしよう、という不安が人とは比べ物にならない。

なので逆に、ショックを感じないように、あらかじめ悪いように悪いように考えるのかもしれない。なので、何か気になることがあると、わざわざネットで心配の種を見つけてくる。

これかもしれない、と。

 

それは俺から見たら少し変わった趣味として、まあ、そういうのもありかなとは思う。

そして、自分の心の中だけにしてくれるといいのにな、とも。

 

息子を励ました。まだわからないよ、とにかく少し休んだらいいよ、と言って、俺は雨の中風邪の人が食べらるようなものを買いに。ゼリーとか、ヨーグルトとか、風邪をひいている人でも食べられそうなものを買いあさる。自分の朝ごはんにおにぎりを買った。

わりと息子は食欲はある様子。俺が10年くらい前にインフルエンザになった時は、こんなに食欲は出なかった。ひき肉と玉ねぎを炒めてオムレツを作ってやったらペロリと息子は平らげて、そして寝てしまった。泣いて疲れてしまったこともあろう。

雨風強いのでどこにも出かけられない。Macでゲームを作るために色々と試したり遊んだりした。

 

昼はうどんを茹でてやった。よく食べた。あんぱんも食べていた。きっと旅行には行けるよ、と、元気付けた。

あとになったら、今日のことも旅の思い出の一部になってるさ。

ツマが晩御飯に作ったお粥もおかわりしていた。

そんなわけで寝る時刻になったら熱が37.8度まで下がった。あと少しだ。インフルエンザっぽさはさらに後退。なんかバイ菌が体に入って、それを身体が殺そうとする健康な反応だったのではないかな、と思う。だといいな、とも。

家族みんなで楽しみにしている四国の旅である。どうかうまく旅に行かせてもらいたい、こんなところで盛り上がらなくてよいからー!