流人道中記

 人に勧められた本は読んでみるし、勧められたドラマやアニメも1話は見てみるようにしている。この本は自分の母親が面白かったよ、と言って貸してくれた時代物。

浅田次郎の本はこれまで読んだことがないし、時代物もあんまり読まない。なので勧められなかったら決して手に取ることはなかったと思う。

世馴れた流人は姦通の罪で北海道まで流されるのだが、それを引き連れる事になったのは、年齢も20歳に満たない世間のことなどよくわからない与力。彼も真面目で剣はたつのだが、流人の貫禄とそれから落ち着きぶりに戸惑い振り回されながら、江戸から北海道を目指して旅を二人で続けていく。

流人の人柄や才覚は読んでいて気持ちが良いし、それを率いる与力の乙次郎も真面目で実直で一生懸命なのが好感が持てる。

この小説の特徴は語り口がくるくる変わることで、乙次郎の一人称になったり、三人称になったり、通りすがりの人物の一人称になったりと、大変多角的にこの道中が見られるようになっている。こんな小説は初めて読んだ。が、これでこの道中の出来事が非常に立体的に読めるようになっていて、なかなかに面白い。

母親もなんでこの本を手に取ったのだろうか。きっと評判だったんだろうな、どこかで。

時代物もなかなか悪くないなと思った。