風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

新ハッピーマニア

 

ハッピーマニアという漫画はもともと安野モヨコの代表作としてあって、これはまだ読んでいないのだけれど、奔放で美しくてそしてちょっとエロい主人公が、常識やルールに縛られずにのびのびと心の向くままに恋をしてベッドインして、そして当然の結果として悲しいつらい目に遭って、それでもまた同じ行動原理で生きていき、周りを巻き込んでめちゃめちゃになるという漫画らしい。いろいろなことを我慢しながら暮らしている女性にとっては、主人公はまさに「やってみたいこと」を代わりにやらかしてくれるので、見ていて気持ちがいいのではないかと思う。

「新」のハッピーマニアは、そんないろいろな問題を抱えつつも真面目に自分を愛してくれる、崇めてくれるに近い地味な高橋くん(よくあるタイプ、として、最近「高橋」という名字はよく使われているような気がする)と結婚して、主人公が43歳になったときに、急に離婚してくれといわれたということから話が始まる。

主人公の行動のデタラメっぷりは相変わらずだが、動物のように気持ちに素直でそして、やはりひどい目に遭っていく彼女は、嫌いだけれど好き、というなかなか得がたい印象を残していく。なので、彼女が今後どうなるのか、を見たくなるので、漫画としては良作だと思う。

ちょっと絵柄が独特なのでこれに乗れない人もいるかもしれないが、読んでいるうちに慣れてきた。コマの運びはダイナミックでときどき読みにくいが、これも味と思う。

 

ハッピーマニア」のAmazon書評に面白いのがあったので、貼っておく。

 

本書はその表面的な印象とは裏腹に,
日本の正統かつ伝統的な少女漫画だと思います。
それを最終巻のカヨコの最後のセリフを読んだときに確信しました。

カヨコは,「ハッピー」マニアというより,
「トキメキ」マニアなのだと思う。
本当に幸せになりたいと思っていたらあんな行動パターンになるはずがない(笑)

カヨコは性的に奔放であるが,
その相手となるのはたくさんの女性と付き合っている陶芸家や,
自称小説家のダメ男など,
どう考えても付き合って「ハッピー」になれそうにない男ばっかりである。
それはカヨコが「ハッピー」を求めているのではなく,
陶芸家のクールで何を考えているかわからない雰囲気や,
自称小説家の文士的な雰囲気に「トキメイ」ているからなのである。

そう考えると,
柱の陰からあこがれの彼を見て,
決して越えられない一線の向こうから,
その男性にではなく恋そのものに「トキメイ」ている伝統的少女漫画の女の子と,
性的な一線は超えるものの,生身の男性の現実と直面することなく,
「トキメキ」に恋しているカヨコとは,
実はその本質において一緒なのだということがわかる。

カヨコは,実は「少女」なのである。