安野モヨコの20年くらい前の少女マンガ。恋に恋する20代前半のシゲタさんが、次から次へと恋を重ねて、あちこちで肉体関係を結んで、なんとか彼氏を作って幸せになりたいのになれない話。彼女のことが大好きな地味で真面目なタカハシくん、という男がいるのだが、シゲタは彼のことなど歯牙にも掛けないで恋の遍歴を重ねていく。
一巻でもうこの話の核心がシゲタから呟かれている。
「私みたいな女の子を好きじゃない人がいいんだ」
と彼女は自分で言っている。
もう成就した途端にどうでも良くなってしまうのだ。
たとえば、3巻で陶芸家の人と念願の肉体関係を持ったあと、気絶するかと思ったのだが、思ったほど盛り上がっていない自分を見て驚いたりしている。
うまくいくと興味がなくなるのだ。追いかけて、追いかけて、そしてうまくいかないのが、すごくつらいけれど、それが彼女にとってのハッピーなのがねじれていて救いがなくて、でも身につまされるところもあって読んでしまう。
恋人を作るというハッピーを探し求めるという意味もありながら、そういう結実することのないハッピーを追い続けていく話という意味も、このマンガのタイトルには含まれていると思う。