明石家さんまが監修したというアニメ作品。
肉子というのはあだ名で本当は菊子が主人公のまんまるなお母さんの名前だ。なのに娘も「きくこ」という名前で、なんで親子で同じ名前なのだろうと途中までは少し不思議に思ったがその理由が後半になったらわかる。
肉子は、気が優しくて思いやりがあるけれど、惚れっぽくて頭が悪い。そんな彼女とともに暮らしている娘がとてもしっかりしている。何かを諦めながら、我が身を隠すようにして暮らしている。肉子の考えていることはほとんど映画の中では語られないし、最後までほとんどわからないままだ。たぶん、何も考えていないのだ。何も考えていないということの気持ちよさがこの映画の中にはあふれている。
世の中の人はうまくいきること、人を押しのけること、に汲々として暮らしている。だまされてばかりの肉子はしかし、それをあとからうらんだりすることもなく、ただ自然のままに生きている。これだけ自然のままに喜怒哀楽を出している、そして愚かな主人公はめったにいない。
だから俺はなんだか心を打たれた。その気持ちよさに。
こんな風に生きていけたなら、それは貧乏だろうし、いろいろ不便だろうけれど、これはこれでなんと気持ちよさそうなんだろう、と思った。