風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

回転木馬のデッド•ヒート

 

図書館で借りてきて、湘南散歩に行く途中に電車の中で読んで、昼ご飯を食べながら読んだ。2日で読了。読みやすかったし面白かったのだ。

短編集で、この頃の村上春樹は読みやすいし言葉の選び方にも神経を配っているし、変に気取っておらず、肩の力が抜けていて本当に読んでいて気持ちがいい。採取されている話にはどれも「オチ」のようなものはなくて、何をくみ取るかは読者の経験次第である。大学生の頃に読んだはずの話が、50歳を過ぎてから読むと味わいがぐっと深くなっている。

何もかもを言わない距離感が好きだ。事柄があってそれを綺麗に切り取って、あとは読者がそこから何を感じるか、それにまかせる村上春樹の小説の味わいがしっかり出ている。そしてこの短編の1つ1つには、大人なら共感できるような言葉にしにくい味わいのようなものがある。

 

ノルウェーの森」は文章はすごく美しいのだがストーリーは好きではない。なぜその人はそういう行動したの?がわからない部分が多い。作中の誰にも自分は共感できない。

羊のシリーズはその不思議なファンタジーとリアルの間を描く世界は好きだが、これも作中の誰にも共感できない。

村上春樹はお話を作るのはもともとうまくないのだと思う。しかしそれを補える言葉のセンスと素材の切り取り方ができるので、それが自然に発揮されるとこういう他の誰にも書けないような小説ができあがる。

「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」は3回読んだ。あれも実は長編小説の体裁をとった短編小説の集合体のようなところがある。なので、あれだけ美しく、印象に残る、いい小説ができたのではないかなと思う。

何が言いたい話なのかはこの作品についてもわからないままだが、この小説ではそれがプラスに働いているような気がする。