「なにもかも捨てて、あなたのように旅に出たいわ」
とマドンナに言われたことがきっかけで、また旅に出てしまう寅次郎なのである。
恥ずかしがりなのか、それともうまくいきそうだと思うこと自身が怖い臆病なのか、男気がないというか男らしくないというか
「それなら私と旅に出ませんか」
といえばよさそうだが、自分が風来坊で人を幸せにすることなんてできないと思っているので、いえたらいいのにと思うのだがその一言が言えない。
結局この話のようにうまくいきそうなものは自分で潰してしまうか、あるいは、二枚目が登場して身を引くことになるか、の寅次郎なのである。
が、ときどき見るとなんとなくほっとする。