風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

何処も地獄

 面接に落ちてしまったということを、社内の情報通であり、オレがたまに飲んでいるKくんに伝えた。Kくんは失意のオレを心配して、そうして言いたいことがあるらしく「本日飲みましょう」と連絡をくれた。オレの家に近い駅を会場に指定してくれてそこでご飯を食べた。焼き鳥がうまい。

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 彼の言うことには、もともと人の募集のための通知を出していたはずのHさんが面接に出てこないのは奇妙だとのこと。Hさんが面接に出てきていればきっとすんなり合格しただろう、と。Hさんが出てこなくなるような事態になっている段階で、もう面接に合格する目はなくなっていたのではないか、と言っていた。Hさんの代わりにKという人とTさんという外国人の人が面接に出てきてくれたのだが、このKさんという人は非情な対応が想定される人で、彼が部署に人を増やすことは考えにくいのだという。

なので

「いやあ、Kさんの下で働くことにならなかったのはよかったです」

と言ってくれた。Kさんが面談に出てきていた時点で、もう始めから合格しないことは決まっていたのかもしれない、という説すらある。

 尚、Tさんの配下にはコネのきく人物もいたので、Tさんの部署で人を募集していると知っていたら打つ手もあった、のだそうだ。KくんにとってもHさんではない人が面接に出てくるというのは大変ショックなことだったらしい。

「他にもいけるところがあるし、急がずに会社にいればそのうちチャンスもあります」「残念な結果を自分の能力の不足で解釈してはいけない。もっと会社の内側はドロドロしているのです」

と言われた。

性善説で考えすぎるのに気をつけないと」と。

 

 そして移動できたらできたで、今募集しているポストは地獄なんです。と教えてくれた。彼が言うには、どこに行っても種類が異なるだけでどこも地獄、なのだそうだ。そうなんだよな。どうせ地獄なら住み慣れた地獄にもう少しいるのもいいかもしれない。そんなわけで話ができて良かった飲み会となった。ご飯もおいしかった。

 たまたまの縁で人が動くものかもしれない。能力のあるなしというよりは。オレが今の部署で働くことになったのも、Aさんという人が「こちらはどうですか?」とついでに紹介してくれたからだったなあ。

 いずれにしろ結果を受け入れるしかない。選べるのは薄笑いで受け入れるのか、涙で受け入れるのか、くらいだ。運命だか神様だかがこちらの展開に導いてくれたのだから、今回はこれで良いのだろうと信じて用意された道を大手を振って歩くことにしようと思う。この面接で落ちたことがいつか「今にして思えばあれは幸運だった」となるかもしれない。

 人生万事塞翁が馬。