風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

あたりまえだったこと

ここ2、3ヶ月、夜中に目が覚めてしまう。トイレに行って用を足して、少し水を飲んで眠る。脳梗塞とか心筋梗塞とか怖いからね。布団に入って30分くらいしたらまた眠れるのだけれど、いったん起きてしまったからか、朝の目覚めは頭が重たくて気分にも暗いモヤがかかっている。働きたくない、会社辞めたい、とか、心のどこかが泣き言をいう。でもそれらをねじ伏せて布団から出て、朝ごはんの支度をして出かけていく。

朝までぐっすり眠る、なんて、昔はあたりまえのことだった。それに感謝なんてしたことなかった。それがいつのまにか失われていた。ただただ眠る、という能力を無くしてしまった。

それと引き換えるように、そのありがたみがわかるという福音もあった。

 

あたりまえだと今思っていることも、そうではなかったんだなとわかる時が来るのだろうか。

 

老眼で目も悪くなっていてメガネを付けていると逆に近くのものがまるで読めない。歳をとるとこうなるのだな、と、面白くもあるが、不便で困る。櫛の歯が欠けるように、ひとつまたひとつと能力の何かが失われていく。

そしてそれがあった日々に感謝を抱く。ああ、あれはあたりまえではなかったのか、と。歳をとるということは感謝を学ぶということ、なのかもしれないな、と少し思う。

あきらめざるを得ないと受け入れて、そうして誰もが多かれ少なかれそういう定めの中で生きているのだな、思うと、みんなが可哀想であるし全てがかわいくも思えてもくる。

藤井風の「花」で歌われていたように。