たまたま北朝鮮という国に生をうけて、将軍様の悪政のためか国土が貧しいためか、ずっと飢えに苦しみながら命を繋ぐ。軍に入隊して、やがてその活躍を認められて、暴風部隊と呼ばれるエリート集団の一員となる。思いがけないことに、ロシアに派遣されることになる。青い目の言葉のまるで通じない人々に、ウクライナ人と戦うために最前線に送られる。そして、敵の戦力を計るための捨て駒として使われて、ウクライナ人の兵器によってなにがなんだかわからないうちに命を落とす。
こんな風に終わりを迎えてしまったであろう人のいたニュースを読んだ。なんて一生なんだ。
しかし、彼らよりは彩り豊かな暮らしをしているとはいえ、やがて自分も、なにがなんだかわからないうちにこの世から退場することになる。彼らの死のニュースは、オレの人生についた考えさせる契機となった。
生きているうちに、と欲望を暴走させても虚しいだけであろう。欲望は満たされた途端に、自分を苦しめる毒に変わる。もっともっと、と、自分を駆り立てる衝動となり、自分を坂から転げさせる。
結局、自分は自分という箱の中でやれるだけのことをやって、ときどき喜んだり、ガッカリしたりしながら、周りの人がなるべく笑顔で暮らせるように願いつつ、自分を生きていくしかないんだろうな。
今の自分はそんな風に考えている。
ウクライナで命を散らした戦士も同じように考えていたのだろうか。
或いは、別の誰かの人生を生きてみたかった、と夢想していたのだろうか。