風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

奥多摩旅

息子くんが北海道大学オープンキャンパスとやらにいくことになった。一人で行く、ということなので、彼の一人旅である。息子くんが家にいないのでその間を狙って、夫婦で旅行ということにした。旅先の候補も旅館もツマに決めてもらい、オレはただそれに乗って楽しむだけだ。

殺人的な暑さが地球を覆っている。奥多摩に避暑、といえた時代もあったのかもしれないが、令和はそういう時代ではなくなってる。

 

息子くんを送り出すためにこちらも5:00に起きて朝ご飯の準備。彼が北海道に旅立ってからオレは30分くらい仮眠。そして8:00頃に家を出て立川に向かう。

立川から奥には今まで行ったことがない。青梅も拝島も名前だけ知っているエリアだ。それらを通り越えていくとみるみる窓外は緑に包まれていて目に優しい。沢井という駅にまずは降りた。むわっと外は暑い。

行列のできる大豆料理のレストラン「豆らく」に入った。

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澤井駅 豆腐料理の店 豆らく

 

隣席でもめごと。3人連れの家族で、娘が老いた父に向かって「ご飯食べないの? 食欲ないの?」と詰問している。せっかく美味しい店を調べて見つけ出して、そこで父を喜ばそうとしているのだが、父は酒だけ飲めたらいいといっているらしい。沢井は「澤ノ井」酒造の拠点なので美味しい日本酒が飲めるのだ。われわれも冷酒をいただいたがフルーティで幸せだった。

せっかく来たのだし、父には酒だけ注文してやったらいいではないか。いずれ、なにかつまみも欲しくなる。と、横目で思ったが、娘の方が「お酒だけなんてダメ。何か食べないとダメ」とうるさい。自分の思ったとおりにならないと口うるさく人に干渉してくる人というのはいつも女だよな、と眺めていた。父親の方が「なら帰る」ととうとう怒ってしまい、娘もそれならばと折れるかと思いきや「じゃあ、帰ろう」と母親と父親を連れて店を出て行った。

せっかくの親孝行の景色が・・。

それはそれとしてお料理は大変美味しかった。椎茸に味がしみこんでいて美味しかったし、ベーコンも燻製の味がしっかりついていて幸せだった。

 

多摩川の上流を渡る橋をわたり、なにやら寺の残骸のようなものを見た。雫というコーヒーの店に入り一服。何しろ暑い。扇子を鞄に入れていたのが幸いして、ここで大活躍。店の縁側のようなところを野生のニホンザルが歩いて行った。野生のニホンザルを見るのは初めてだった。


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澤井駅 コーヒーの店 雫

 

玉堂の美術館が隣の御嶽という駅にある。川沿いを歩いて行けるようなので行ってみようと川を眼下に眺めながら歩く。いい道だし景色も良い。だがとにかく暑い。ペットボトルの中の水を飲み、タオルを濡らして頭に乗せて、暑さをしのぎながら進む。川遊びをしている子供たちを乗せて大きなボートが断続的に上流から流れてくる。涼しそうだ。


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御嶽駅 玉堂展示

 

玉堂の美術館について、余白の使い方のうまい、構図もよい玉堂の絵を眺める。我々の他に誰も観ている人がいなかった。空いていた。

鳩ノ巣という駅に進んで、そこから駅に近いところに今日の宿泊先がある。入り口に妍を競うように並んでいる50以上の風鈴も、風がなくてぐったりとしていた。干物のようんだと思った。

 

【公式HP】奥多摩の風 はとのす荘

 

掃除が行き届いていて、不要なものがなくて必要なものがしっかりある、質実剛健なホテルだった。ツマのもってきた携帯充電のアダプターが壊れていたのだが、ホテルに貸してもらい事なきを得た。

晩ご飯はイタリアンだったがどれもしっかりと美味しかった。やっつけ仕事で「こんなものでしょう」という感じで料理が出てくる宿泊先は珍しくない。「はい。こんなものですよね」という感じで頂くのだが、ここは一品一品に気合いが入っている。ちょっとしたレストランに行ったときのような満足感が得られた。空いていたということも手伝っていると思うが。風呂には2回行ったが、どちらも貸し切りだった。日曜と月曜の一泊で旅の日取りを決めたのがよかったか。

 

翌日、奥多摩駅からバスで30分くらいのところにある日ノ原鍾乳洞へ。交通の便がすこぶる悪いがそれだけ奥地ということで、どこにでもいる外国人観光客もここまでは来ていなかった。鍾乳洞の入り口の温暖差で、入り口は風がびゅうびゅうと吹いていて涼しかった。

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日野原鍾乳洞

 

上り下りがなかなか大変だった。それから鍾乳石はそんなにたくさんはなかった。が、珍しい、記憶に残る体験がしたくて旅に出ている訳なので、それは存分に満たされた。階段の足場が悪くて手すりに必死につかまりながらのぼっていったり、終始ぴとぴとと冷たい雫が天井から落ちていたり、冒険感が味わえた。上り下りでなかなか体力は消耗した。行き来が大変なのでもう2回目はなくてもよい。

「この先は登りが急です」

と注意書きがあったが、たかがしれているだろうと甘く見積もって登り始めたルートがとんでもなく登りが急だった。息を切らしながら登った。

老人の一団や子供連れもあったが、彼らがあのルートを選ばなかったことを祈る。

 

ビデオを巻き戻すように元来た道を戻っていき、八王子駅の「餃子の王将」で遅めの昼ご飯を食べた。塩分を体が欲していた。こんな生死の危険を感じる旅は、あと10年後にはやらないだろうなと思うので、大変だったが出かけることができて良かった。