風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

村上春樹はまたも見送り

ノーベル文学賞は日本とゆかりのある人に与えられることになり、マスコミは取り上げている。カズオイシグロさんという方が受賞。日の名残り、は、来年のうちには読みたいと思う。

NHKは、村上春樹の受賞の報道を待っていた人たちを取材。残念がる様子を明るく報じていた。毎年毎年村上春樹の名前が季節の風物詩のように出てくる。でもどうなんだろう、村上春樹は本当に文学賞を取るほどの作品を書いているだろうか。

大江健三郎のような難解で不愉快なのに、何故だか無視できないような濃厚な粘りつくような作風ではないよね。

自分もかつては、ハルキスト、で、[世界の終わりとハードボイルドワンダーランド]は上下巻あるのに3回くらい読んだ。スプートニクの恋人以降は興味がなくなり読まなくなった。彼の作品は全体的に熱量がなくて、伝えることへの情熱も淡い。

つまりは、そういうことだ。

のような、読み手に理解を託すような言い回しが多く、その距離感が物悲しくもあり、クセになるところでもあるのだが、文学賞をこういう作品を書いている人にあげてはいけないと自分は思う。

ノルウェーの森、という小説では、キヅキ、と、直子、の重要な人物が二人自殺してしまう。彼らの死の原因はずっとはっきりしないままだ。ほとんど全く語られていない。その距離感が好きな人もいるだろうけれど、自分には作者の自己満足な手抜きに感じられて、読むたびに、なんだこりゃ!と独り言を言ってしまう。直子に至ってはうまくいきそうな気配が出てきた途端の自殺で、死ぬ理由が余計にわからない。読者はもちろんショックだし、それがドラマチックと言えないことはない。が、それを狙ってやってるとしたら、そんなものは文学者とは呼べない。シナリオライターだ。

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自分は村上春樹が賞を取れなかったニュースを聞いて、なんだか安心してしまう。そしてもう、受賞出来なかった人を報道するのは気の毒だからやめたらどうかと思う。