風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

あげくのはてのカノン

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7つのルールというテレビ番組で紹介されて気になったので、コミックを入手して読み始めた。SFであると同時に不倫恋愛ものであり、これまで見たことのない漫画だ。アマゾンでは入手困難になっている。

主人公の、かのんの片恋の熱量が凄まじい。だがその崇拝にも近い恋情はわかる。彼のものに関するものなら、写真も欲しい、動画も欲しい、声も盗聴してでも欲しい。彼の使った箸袋、彼の座った椅子、全てが愛おしくてたまらない。恋は病気のようなもんだ。

その彼は、宇宙生物との戦いで何度も死にかけ、そして蘇生し、その度に少しずつ人格が変化していく。

この漫画は設定があとから皮をむくように出てくる。え、そうだったんだ、という事実がこれまで読んで来た物語世界を毎回揺さぶり、再構成させる。そうなるとあれは、と、前のページを読み直したくなる。

物語の時間が前に少しずつ進みつつ、過去が明らかになり、そして物語の意味が変容していく。こんな漫画は見たことがない。面白いかどうかは人によると思うが、斬新な語り方という点では類を見ない。

驚かされてばかりの背景に、毎回が楽しみでもあるが、主人公の苦しいくらいの片恋のテンションと、物語世界の意味の立て直しに、読んでいて息がつまる。