風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

バブリング創世記

筒井康隆の昔の文庫本がAmazonのUnlimitedにて読み放題になっていたので、手に取ってみた。バブリング創世記は、表題作の、聖書の創世記をパロディにしたものや、小倉百人一首をパロディにしたものなど、何となくふざけているものが多くて、若い頃はそんなに好きではない本だった。が、歳をとると本の味も変わってくるらしく、筒井康隆の毒がやけに生々しく感じられる。いるよな、あるよな、と心当たりの経験があるので登場人物の恐怖にすごく共感できてしまう。

突然オフィスにやってきた鬼が順にシャインを殺していく、死にかた。

僻地でガイドの言われるままに振る舞うしかなくなった男の不安と恐怖が生々しい、案内人。

ずっとずっと開けずにいた扉の鍵を次々と開いていくことで、おぞましき過去が記憶に蘇ってくる、鍵。

筒井康隆の怖さが、いまはより一層楽しめる。