相米慎二カントクの昭和の青春映画。当時から気になっていたのだが、Amazon動画で目に入ったので500円で鑑賞。ネット民の評価も結構高い。
昭和の演出で台詞の読み方もなんとなく芝居っぽいのが、令和のドラマになれてしまった自分には気になったが、場面と場面と乱暴につなげつつ、物語がぐいぐいと進んでいくのは面白かった。
中信という長野の小さな中学校で台風の日に起きた一連の事件のようすを、たんたんとしかし荒々しく描いていく。退屈ではけ口のない中学生のエネルギー、このままここで埋もれてしまうなんて我慢ならないという焦りと不満と、そうはいいながらもどうしたらいいのかわからない思春期をよく描けていると思う。
こんな何もない田舎にずっといるのはいやだ、という思春期の話として「悪の華」という漫画を思い出す。
悪の華の主人公の女の子は問題のある家庭環境なのだが、なにしろ田舎なので逃げるところがないのだ。逃げるところは自分の心の中に作るしかない。そんな環境に無理矢理に閉じ込められた若者たちのエネルギーの発露を、すごく不健全に描いたのがこの「悪の華」で、それをもう少し爽やかにしたのが「台風クラブ」だった。
映画の名前からもう少し明るくて爽やかな話かと思っていたのだが、全然違った。
見て良かった。あと、若い頃の三浦友和がかっこいい(役柄は人生を少し諦めてしまった数学教師なので、かっこよくない)。