明日、墓に入った祖父母と、ヨメのお父様の墓参りに都会へ出て行く。ヨメの父上が清澄白河、うちの家系は新中野なので、だいぶん同じ東京でも離れたものだが、そんなことを考慮して結婚したわけではないから、そんなものだろう。
ヨメが言う。
あなたのおじいさんの名前は?
?
あれ?
思い出せなかった。もう長いこと使ってないから忘れたのだ、といったら、ヨメはしっかり自分の分は覚えていた。大したものだ。今後は俺の分も覚えていてほしい。
あなたの人に関心がないのにも驚く、と言われた。
そういうくくりか?
記憶力の低下ではないのか?
自分が薄情者になるのが嫌なので、なんとか思い出したかった。けれどダメだった。
まあ、いいや、彼らもそんなに俺のこと大事にしてくれなかったし、と、言ってあきらめた。気にしないことにした。
よくそんなに自分を許せるね、と、ヨメはまた驚いていた。