風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

脈拍

5時半に目が覚めてしまい、枕を耳を押しつけて静かにしていた。ザク、ザク、と、規則正しく脈の音が聞こえてきた。あ、そうだった、心臓が今も自分で勝手に動いてくれているのだった。

俺の知らないところで、俺が死なないように、こんなに真面目に地道にザクザクと鳴っていたのだった。ありがたいやつめ。

いつもはその働きを意識することなんてしない。

でもどんな時も、俺のことを懸命に支えてくれていたのだよな。ザク、ザク、という音が、生きろ、生きろ、と言っているようだった。心楽しく心臓の音にしばらく耳を傾けていた。生きているって凄いことだよな、と思った。

 

イヤなこともつらいこともあるけれど、とにかく心臓は淡々と仕事をしてくれている。

 

そうしてどんな人たちの中でも、必ず心臓が頑張ってその人を生かしているんだよな、と思った。

いろいろイヤだな、と、思っていたお客さんの中でもそうなのだと。みんな心臓があって、懸命に生かしてもらっている。

少しだけ、イヤだなという気持ちが後退した。

 

時々は、心臓の音をこうして聴くようにしてみよう。