鬼平犯科帳の内容はあまり見ていないのだが、この作品群のカメラワークは際立っている。ものすごい人が撮影か絵コンテかを担当しているのだろう。
絵の前の方に花を配置したりして遠くを映しつつ、何が起きているかはよくわかるようになっている。その技術の極みが鬼平のエンディングにある。
鬼平犯科帳エンディング1989 - 動画 Dailymotion
この動画を見るとその美しさにいつも少し泣きそうになる。
「鬼平が守っているのは、これらの美しい江戸の風物なんだ」
と思いながら観てしまうからだ。
そういう説明臭いことは一切番組は言わない。冒頭に鬼平がちょっとこっちをみて、そして背中を向けて去って行くだけだ。そして春夏秋冬の江戸の庶民の楽しそうな暮らしが淡々と映される。そう江戸の人たちの大半は鬼平の働きなど知らないし、知らなくてよい、いやいっそ知らないのがいい。江戸の人たちはただ毎日を過ごしている。これを鬼平は守っているのだ。
そんなことを言葉で語るのではなくて、ギターの美しい音色と江戸の景色だけで語ってる。粋だ。
「憎い仕事するなあ・・」
と観るたびに思う。
そうしてなんでこういうものをみると自分はちょっと泣きそうになってしまうのか、これは自分でも不思議だ。