28年間の歳月をかけて、まじめに正義のために生きることの素晴らしさを物語にしようとした滝沢馬琴と、彼が描いてきた「南総里見八犬伝」の物語が交互に進むというちょっと面白い構成の映画。150分となかなか長い映画なのだが、交互に進むのを見ているうちにいつの間にか終わってしまう。
いろいろな物語を味わえる良さがある一方で、盛り上がってきたときに切り替わってしまうという構成のせいで「いいところだったのに」ということが頻繁にあって、これがフラストレーションになることもある。カタルシスという点では物足りない。
葛飾北斎が馬琴の友人として出てくるのだが、挿絵を描くくせに馬琴にはあげない、という意地悪ぶりもちょっと意味がわからない。あちこちが説明不足になっていて消化不良な感じが否めないが、あれもこれもと詰め込んだからだろう。黒木華の演じる、息子の妻がよい役どころなのだが、彼女についてももっと深掘りしたらいろいろ面白い話が作れそうだし、息子の友人もちょっと出てきてさらりと去ってしまうので、感情移入が追いつかない。
しかし150分の映画なのでもう十分に長い。なので、欲張っていろいろ詰め込んだので、どれもこれもちょっと「お味見」感のある話になっている。里見八犬伝の方も、なんでそうなる、どうしてそうなる、と、いいたくなる展開がずんずんと出てくる。これも細かいところにケチを付けていては楽しめない。
いろんなことを少しずつ見て楽しめるという点がこの映画のいいところだった。