水野敬也による男が女を口説き落とす時の心がけ指南。読みやすくて具体的で役に立ちそうな内容が、半分くらい不真面目なトーンで、色々と覚えやすいネーミングとともに紹介される。おう、そうかもな、と首肯してしまうものも多いが、なんでこんな本を自分は読んでいるのかと思わなくもない。この本、20代の頃に読んでたら、参考にしていくつか実践していたかも知れない。
こういう恋愛ものはテクニックのようなものが入るほどに不純物が入るのは避けられない。最初に出てくる、執着の分散理論、から、既に恋愛としての面白みであろう執着を、そもそも否定している。相手を好きすぎるとうまくいかない、だが、好きでもないくらいの方がうまくいく、という皮肉な現実に、うまくいくためならそんなに好きでなくてもいいはず、という立場を鮮明にとっている。
作者はもちろんそれを自覚しているようだ。
そんなに好きでない子だと思って付き合い始めたら、好きになることもあるよな。色々やってみるのはいいことだろう、と思う。