風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

カナブン

寝ていると、ブーンと思い音をさせながら部屋を横切っていくものがあった。

あーこれが、ツマがなんか「虫がいるぅ」とか言っていたやつだな、と半分寝ながら思った。しかし俺はもう眠くて仕方がない。別に部屋の中を虫が飛んでいようと、壁を這っていようと関係ない。寝るのだ。しかし寝ていた息子が「なんかいる!」と起き上がって部屋の明かりをつけた。バチンバチンと天井に向かって激突するその虫の姿を寝ながら見上げた。ああ、カナブンだな。このマンションの周りではよくセミとカナブンが階段で死んでいる。カナブンなら何も健康上の心配はない。ほっておけ、と言ったが、息子はティッシュペーパーをバサバサと引き抜いて飛んでいるカナブンを捕獲するつもりのようだ。飛んでいるのは無理だろう。父ちゃん、捕まえてくれないか、と息子に言われた。断った。だって眠いんだもの。

で、結局捕まえられず。

あっちの通路の明かりをつけて、部屋の電気を消せば勝手に明るいところに向けて飛んでいくよ、と教えた。

「父ちゃん頭いい!」と息子に言われた。まだそのセリフは取っておけ。

そんなわけで通路に出て行ったカナブンを息子がティッシュで捕獲。飛ぶのに疲れて休んでいるところをティッシュで5重に包んだらしい。潰して捨てようとしていた。可哀想だから包んだままベランダに置いておけ、と教える。息子もその通りにしていた。

 

翌朝、カナブンがティッシュから脱出してピーマンの裏で涼んでいたのをツマが確認した。おそらくそのカナブンであろう。