風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

高台家の人々

 

マーガレットという雑誌に載っていた少女漫画である。表紙を見て、なんとなく読んでみたら面白かった。近頃は異世界ものやら転生ものやら、あとはエロ系の漫画ばかりが幅をきかせていて世の中もおしまいかと言いたくなるのだが、こういう作品がたまに見つかる。作者の森本梢子さんは、他にも、ごくせんや、でかわんこ、などの数々のドラマの原作を作っている大ベテラン。高台家の人々も、綾瀬はるかを使ってドラマ化したらしい。

高台家の兄弟たちはみんなテレパスで考えていることがわかってしまう、という設定だ。わかってしまう、ということの不幸や苦しさを描くところが少女漫画だし、テレパスの苦しい恋を描けるのは少女漫画ならではだろう。3人は美男美女なのだが、恋愛に関しては相手が我慢していたり、相手の見にくい部分が見えてしまって、なかなか人を好きになれない。人の心が見えてしまったら人は恋をしにくくなるのかも知れない。恋愛は、幻想を燃料に燃えるものだから。そして主人公のOLは、その3兄弟のうちの1人に気に入られてしまう。

彼女はいやなことやつらいことがあると荒唐無稽な空想をしてやりすごす、という性癖の持ち主。その彼女の空想の突飛さにテレパスの長男がひかれていく。なんて面白いことを考えるのだろう、この人は、と。

人の心が読めてしまうが故に芽生えてしまった恋心、の話。

あちこちに散りばめられる、なんだよその空想!といいたくなる、オフビートな空想が読み手のすべてを「つっこみ」に変えてしまう。そして笑わずにいられない。なんだこれは、という面白さという点では「女の園の星」の面白さと少し似ている。

ごくせんも機会を見つけてどこかの漫画喫茶で読んでやろうと思う。