世界から猫が消えたなら

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猫大好きな人の話かと思っていた。

 

息子の散髪を待つ間、弘兼憲史人間交差点を読んだ。

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そのなかにこんな話があった。

心中しようとしていた夫婦が、熱が出た子供を救うために雪の中を何軒もの医者を巡るのだ。どの医者もろくに相手をしてくれない。深夜の雪の中だし、お金がない二人だからだ。が、一件だけ子供のことを懸命に診察してくれた。

こんな世の中だけど、1つくらい花は咲いてるものよ、と、医者は言い残してタクシー代を託して去っていく。

涙があふれていた。床屋で息子が髪を切っている間なのに。そして、泣いたら少し鬱な気持ちが和らいだ。何故かわからない。嫁にその話をしたら、泣くのは鬱には良いらしい、ということで、ネットで泣けそうな映画というのを見つけてくれた。それがこれだ。

 

世界から猫が消えたなら

主人公はあと1日の余命しかない。しかし、大切なものを1つ人生からなかったことにすることで、1日だけ余命が増えていく、という川村元気の小説を映画にしたものだ。

はじめに恋人と知り合ったきっかけが世界から消え、親友と知り合ったきっかけが次に消える。そうして寿命を得ていくのだが。

これは人生賛歌だ。過剰な適応で心を病んでしまった自分には、まさに神の配剤のように感じられた。世界はこんなにも美しい。世界はかくもままならないけれど、残酷で、生きていくことの意味なんてまるでないかのようだけれど、それでもこうして美しい。

美しさが主題の作品なので、映像がどれもとても美しい。

見終わったあとトイレに行ったが、トイレットペーパーから、スリッパから、全て見えるものが何か自分を応援してくれてるように錯覚された。これは初めての経験だ。

音楽もずっと同じ曲を使い続けていた。そうなのだ。人生の場面に良いも悪いもない、という主題なので、ほとんどの場面を同じ曲で彩っているのだ。今は他界してしまっていないある人との思い出のシーンは、生きていたのだ、というやすらぎと、もういないのだという切なさが同居する。例えばそういうことだ。

 

会社で時間を削っていてはいけない。大切な人の為に時間をもっとつかうべきなんだ、映画ではそんなことはひとことも言わないけれど、そんな気持ちが抑えられなくなる作品だった。

気持ちの元気がなくなってきたら、是非に見てほしい邦画の宝だと思う。

予告編で使われている、エンディングで流れる曲も好きだ。