ミニオンたちは悪党を求めて旅をしてきているので、グルーが改心して、悪党を捕まえる立場になると、ミニオンたちは去っていくのが自然なわけだ。悪党退治の立場になったので、勧善懲悪の爽快なストーリーが組みやすくなったが、その代わりに、去っていったミニオンたちがなぜグルーに戻ってくることにするのかについては、しっかり書き込まないといけないし、それがこの話のテーマになり得たはずなのだ。が、ミニオンが戻ってきたのは、単なるグルー懐かしさ、のようにしか書かれておらず、そこに深い葛藤や迷いがない。グルーに失望して出て行って、そして気が変わって帰ってきたようにしか見えないのが、物語としてとても薄い。悪役もなかなか面白いし、グルーに双子がいたという設定も唐突ながら、再び悪を退治するために奮起するために出てくる意味はあるかもしれないが、あちこちに脚本の雑なところが目立つ。月泥棒の話の方がずっとよくできていたと思う。