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疲れる映画である。ずっとそこに漂っている「どうにもならない人生」をイヤというほどに見せつけられる。いろいろな人たちが、いろいろなことに対して、どうにもならないことを抱えながらそれを受け入れて暮らしている。
何もない貧しい田舎の暮らし、フィリピンという国の貧しさ、子供に恵まれなかった母親、老人性痴呆症、ヤクザ、人種の差別、言葉の壁、いろいろなことがどうにもないやるせなさとして映画のベースに存在していて、そうして、40歳を過ぎて嫁のいない岩男は、自分の嫁を手に入れるためにお金を払ってフィリピンに嫁を「買いに」いく。
自分の好きだった女に振られて、闇の中で天を仰ぎながら「おまんごーー」と号泣する、岩男、つまり安田顕の演技がものすごい。どうにもならないものに追い詰められる情けない男が、どうしようもない言葉を叫びながら、叫んでいるのだ。見ていて息を飲む。
そうしてそのどうにもならなさが見ていてつらすぎて、もう2度と見たくない映画として、忘れられない映画となった。
後半は少し思いがけない展開が待っていて、なぜそんなことになってしまったのか、それに対する説明がほとんどないので、原作の漫画ではどうなっていたのかが気になる。