風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

無能の鷹

 

能ある鷹は爪を隠す、という言葉があるが、この話の主人公の女性の鷹野さんには「爪」しかない。本体がない。嘴も何もない。ほとんど仕事らしい仕事ができない。できるのはそれらしく振る舞うこと、それだけ。しかし意外にも世の中はそれでもなんとかなってしまう。周りがこの人はできる、と思ってしまえば、何かがおかしい時には「自分のせいだ」と人は勘違いしてしまうことがあるからだ。

それくらいに鷹野さんは堂々と無能だ。全く恥ずかしげもなく、自信たっぷりに無能を晒している。実際にはこんな人は社会では通用しないような気もするけれども、世の中の色々な不条理さにイライラしたり苦しんだりしている時に読むと、その世の中の正体というのも案外この程度のものかもしれないな、という気持ちになってきて爽やかな気分になれるかもしれない。