画集はこれくらいしか持っていない。
滅んだ東京を緑が包む。実在する東京のあちこちが滅んだ絵と、それを覆う緑、そしてたまにいる動物のようなもの、鯨とか鹿とか。
昨日の朝はこれを見て心を慰めた。
なんだかんだ言っても、こうして世界が滅んで人類が消え去ったらオレの憂鬱なんて、影も形もないんだよな、と。絵が心に沁みた。
しかしである。今朝は画集を見ても特に何も感じない。綺麗だな、と思うだけだ。それに自分で驚いた。
心が昨日よりも健康になってきているんだな。
それとともにガラスのように透明で研ぎ澄まされていた感覚も、砂をかけたようにまた鈍くなったのかもしれない。
健康は人を少し鈍感にするのかもしれないな。
自分は1も2も持っている。ちょっと気持ちが疲れたときに見ると癒やされる。