風紋

外資系のソフト会社 コンサル職のおっさんの日々

それでも歩はよせてくる

絵が好みだなと思っていたら、すれ違う2人をかわいく描いた、からかい上手の高木さん、という漫画と同じ作者のマンガであった。

将棋大好きの女子高生と、彼女に憧れるスポーツ万能の後輩が、ただすれ違う話が続く。先輩に将棋で勝ったら告白しようと決めている歩は、しかし真面目に実直に、先輩はかわいいです、と、正面から言う。しかし、お前私のこと好きなんだろ?と、先輩が確認しようとすると、黙る。勝つまで告白しないと決めているからだ。

先輩も自分から告白するのはなんだか癪にさわるので告白しない。2人とも相手が好きなのに。あとは歩が将棋で勝てるかどうか、だが、先輩は将棋がとても強いのだ。

 

 

いっそ告白させたいと思っている時点で、そこに恋があるわけなのだが、それに気づかない若さが、おっさんには微笑ましくて読んでいて楽しい。

黒岩メダカに私のかわいいが通じない、も、そこが面白い。

 

ジョンレノンのラブという歌のフレーズ。

Love is asking to be loved.

 

今にして思うとあれは俺のことが好きだったということだよな、と、思い出される学生の頃の記憶がある。なにかしらこちらから、相手の気持ちを察して動けていたら、もっとキラキラした学生生活もあったろうにと、なんともったいないことをと残念に思い出す。そういう記憶が3人くらいあるのだが、どの相手も俺は好きだった。だが、恋する気持ちではなかった。この人が俺のことを好きなわけがない、と、はなからその可能性を排除していたのだ。他に付き合っている人がいる、と聞いていたり、以前に、付き合っている人がいるから、と、振られたりしていたから。でも、その可能性は今にいて思い出すと十分にあったようだ。

惜しいことをした。

 

が、当時、彼女たちに恋されたいという気持ちが強ければ、きっとそのように勘づくことができたろうから、そうとしか当時はなりようがなかったな、と振り返る。その当時の自分の残念さを悲しく笑いながら、若い時ってこういう空回りってあるよねー、と、行き違いを描いたラブコメを今は面白く思うではないかと自己分析。

それに短編のラブコメは疲れないから、年寄りには読みやすいというのもあるよな。